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2017.7.20 久しぶりにブログ更新しました【残業代について】

弁護士平山諒の、好き勝手なブログです。最近、やや下火になってきた「残業代」の問題がにわかにホットになってき始めたので、残業代請求に関する情報をシリーズで発信してます。

PBブログ 残業代請求を受けたらどうする?~「クロネコ」の悲劇の巻~

「従業員を残業させているけれど、残業代を払っていない」

「いままでも基本給だけでやってきたし、サービス残業は愛社精神の表れだから当然でしょ?」

「そういえば、最近ニュースで、残業代の話を聞いたけど、わが社は大丈夫だろうか?」

・・・クロネコが横切ると不幸なことが起こるという“おまじない”はあまり関係ありませんが、先日、流通最大手の企業に多額の未払い残業代が存在するということが発覚し、最終的に、従業員に対して未払い額を支払うということで妥結したとの報道に接しました。報道によれば、6万人の従業員に対し、1人当たり50万円から200万円、合計230億円にも及ぶ支払いと言われていますが、それでもなお一部の従業員からは不満が出ているとの声もあります。

 

この企業は、企業規模も業界トップクラスで、しかもテレビコマーシャルなどによる認知度・好感度も上位の企業でしたので、ある意味非常にショッキングな報道で、世間の注目を集めています。このコラムをお読みいただいている経営者の皆様の中にも、「もしかしたらウチもかもしれない」と戦々恐々とされている方もいらっしゃるでしょうか。

そのような皆様の不安を払しょくするため、今回からコラム形式で、「会社が未払い残業代の請求を受けたとき、取るべき初動」について考察してみようと思います。

ただ、いきなり難しい話をしてもピンときませんから、まずはイメージを持ってもらうため、シリーズ第1回の本稿は「残業代はどうやって請求されるのか」について解説します。

 

~未払い残業代の請求はどのように受けるのか?~

さて、クロネコが横切るような報道を受けて、「もしかしたらウチもかもしれない」と戦々恐々になっている会社経営者様もきっと多いと思います。

しかし、幸いにして今まで残業代請求を受けたことがない会社さんには、具体的にどのような流れになるのかイメージがつきにくいでしょうから、まずは実際にどんなルートで紛争が勃発するのか、解説します(もうすでに請求を受けているとか、裁判をやったことがあるという方は次項へスキップしてください)

①本人が、残業代をくれと言ってくる

 今回の報道を目にして、「もしかしたら俺も残業代取れるんじゃないか」と考える労働者が出てくる可能性があります。

 一番わかりやすいのは、この従業員が直接、上司や社長さんに「残業代って出ないんですか?」と聞いてくることがあるでしょう。

 会社の経営状況や様々な理由で、支払うべきものが支払えなかった、あるいは、サービス残業なんてあって当然という認識で、残業代の請求を断るとなれば、次に弁護士などが介入してくる可能性が出て来ます。

②弁護士や労働組合から請求書が来る

 長時間労働をしても残業代が出ないことに不満を持つ従業員が駆け込む先は、弁護士か労働組合、あるいは労基署などの第三者・専門家です。

 会社と従業員の紛争という事で、いきなり弁護士から内容証明郵便が届くと、会社としては非常に驚かれることと思います。また、労働組合(ユニオン)に駆け込んで団体交渉申し入れをしてくるという事態もあり得ます。

 この種の通知を受けて無視を決め込むと、次の段階、すなわち法的な手続きなどに発展する可能性が非常に高いです。

③ 訴訟提起、労働審判

 本人の直接の話し合いや、弁護士等との交渉でもって解決しない紛争は、最終的には裁判所の手続きに移行します。

 一番スタンダードなのは、やはり「裁判」でしょうか。会社の近くの裁判所から突然、「訴状」が届き、第1回期日の指定がされ、呼出し命令が届きます。

 また、最近は労使紛争の解決の手段として、訴訟ではなく「労働審判」という手続きを取られる場合も多くあります。

 いずれにしても、会社として対応しなければ、相手方の言い分が認められて会社不利な判決・審判が出ることになりますから、大急ぎで弁護士に依頼をする必要が出て来ます。

 

多くの事件ではこのように、①本人の直接交渉②代理人介入や第三者を通しての交渉③裁判所など公的機関での手続き、というステップを踏んで進んでいくことになります。

 もちろん、本人と社長さんとの話し合いで解決すれば一番穏やかではありますが、銃要因はそれぞれに知識を持って会社との協議に臨んできますし、話し合いが決裂すれば第三者の介入、法的手続きへと発展していくことになってしまいます。この場合、会社としてかかってくるコストやリスクも非常に大きくなってしまうので、可能であれば、最初の直接交渉の段階で解決を図るのがベターと言えます。

 しかし、残業代の支払い請求を受けたとして、ここまでくればどうしたって会社としては出費をまぬかれないのではないか?そのような事態になれば、ただでさえ金銭状況が苦しい中、会社としては経営に行き詰ってしまうのではないか?・・・様々な心配が出て来ます。

 

~残業代の直接請求を受けたとき、会社としてはどのように対処すればよいのか?~

残業代の請求があったときに、必ずしもすべてのケースで支払い義務が生じるというわけではありません。ですが、会社としては適切な初動さえ誤らなければ、今回の請求に対する支払額を最低限で抑えるとか、会社の経営を維持しながら債務額を抑えて紛争を抑めるということも、不可能ではありません。

では、残業代請求を実際に受けたとき、会社はどう対処すればよいのか。

いままで労働紛争を取り扱ってきた弁護士の経験から、いくつかの「初動マニュアル」を、次のコラムでご紹介します。近日中に公開する予定です。

従業員にサービス残業をさせている会社の経営者の皆様、そして実際に残業代の請求を受けてしまっている皆様、ぜひともご期待ください。

2017・7・20 府中ピース・ベル法律事務所 弁護士平山諒

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