刑事事件の流れ

六法全書刑事事件は,どういう手続きが行われるのでしょうか。

このページでは,刑事手続きの流れを簡単に解説します。もしご自身やご家族の方など,刑事事件に巻き込まれた方は,このページのチャートをご覧いただくことで,今どの段階にいるのか,イメージができると思います。

1 逮捕前の捜査

刑事事件は,逮捕される前から始まっています。

犯罪の疑いが発覚すると,警察による捜査が行われます。警察による捜査は,いきなり逮捕ということがされるのではなく,多くの場合,事前に捜査を行い証拠を収集したり,任意で被疑者や被害者,目撃証人から事情を聴取したりします。

そのうえで,被疑事実(犯罪行為の存在)が明らかになり,被疑者に逃亡や証拠隠滅の恐れがある場合に,逮捕状を取り,逮捕となります。

犯人と疑われている段階でも,必ずしも逮捕されるとは限らず,例えば高齢であるとか病気のために入院しているというような場合には,逮捕せずに捜査が進み在宅起訴,というケースもあります。

ただし,万引きや痴漢の現行犯などは,犯行現場で現行犯逮捕されます。

2 逮捕から勾留まで(3日間)

逮捕されると,その後3日以内に,勾留請求されるかどうかが決まります。

罪状や証拠関係その他の事情から,証拠隠滅や逃亡の恐れなど,引き続き身柄を拘束しておく必要性があると検察官が判断する場合には,「勾留請求」をされます。「勾留請求」に対しては裁判所が決定を出しますが,この請求が認められると,さらに10日間の身柄拘束がされます。

そして,この勾留期間の満了前に,被疑者が起訴されるか不起訴処分となるかの終局決定がなされます。

起訴される場合も,身柄を拘束されたままだと,防御活動上も大変な負担が生じますし,なにより身柄を拘束されているという事実自体で,本人やご家族への負担の大きさは計り知れません。

そのため,もし逮捕されたら,まずは勾留請求されないですぐに身柄の開放を目指すのが刑事弁護のセオリーです。

勾留請求をさせないために,弁護人は検察官や裁判官と折衝し,勾留すべき理由が無いことを主張します。

3 勾留延長(10日間)

10日間の勾留の後,さらに必要性がある場合には,最大10日間の勾留期間の延長がされることがあります。

法律上は,勾留を延長すべきやむを得ない事情がある場合に認められるという例外的な制度ですが,刑事弁護実務上は,勾留延長がされることは非常に多く,原則と例外が逆転しているような印象すら受けるものです。

いずれにしましても,さらに10日の延長がされることになるので,弁護人としては検察官,裁判官と折衝をし,それまでの捜査状況や証拠隠滅の恐れが無いことなどを指摘し,勾留延長がなされないように働きかけます。

4 起訴・不起訴の終局決定

証拠から,被疑者の犯罪事実が認められるとなった場合,検察官は当該被疑者を起訴します。

このあとは,公判期日が開かれ,刑事裁判が行われます。

罪証隠滅の恐れなどが無い場合には,保釈金を支払って身柄を釈放させるという手続きをとることもあります。保釈が認められない場合には,拘置所で身柄を確保されたまま,裁判に臨むことになります。

しかし,これまでの実務感覚でいえば,必ずしも逃亡や証拠隠滅の恐れが無い人のケースまで,保釈が認められなかったり,勾留延長が容易に認められすぎる等,刑事被告人の身柄拘束が容易に行われすぎているきらいがありますが,そもそも身柄を拘束されていること自体によって防御活動(弁護士との打ち合わせ)にも支障が出ますし,身柄拘束自体が一つの人権侵害ですから,現在の実務上の扱いには非常に大きな疑問があります。日本の裁判が「人質司法」と呼ばれることがあるのは,この問題意識です。

当事務所では,わずかでも要件を満たすものについては,勾留決定に異議を述べる準抗告や,保釈請求の手続きを取ることにしております。当事務所弁護士がこれまで申し立てた手続きのおよそ半数で,保釈許可決定や,勾留延長の取り下げなど,不要な身柄拘束から解放される結果を得ており,十分な某業活動を実施できていると自負しているところです。

5 裁判,判決

刑事裁判の手続きの最後に,判決が言い渡されます。

無罪や執行猶予付きの判決を獲得できれば,身柄拘束されていた被告人も,ようやく自由の身になります。

しかし,実刑(懲役刑や禁固刑)の言い渡しを受けると,身柄拘束を受け,その後の刑に服することになります。

刑事訴訟の中では,まず犯罪事実が真実だとすれば情状弁護や示談などによる執行猶予獲得を目指す,冤罪だとすれば無罪を主張して戦うなど,事件に沿った方針を立てます。ご家族や職場の方に,証人としてご出頭いただくこともあります。

比較的簡易な多くの場合,起訴されてから判決まで,2~3か月といったところですが,事件の内容が複雑である事件とか,殺人事件などの裁判員裁判の場合は,裁判手続きが長期化することもあります。

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