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【コラム】働き方改革に関する一言コラム

「働き方改革」というフレーズを,よく聞くようになりました。

法律改正の話なのですが,報道されているところを見ると「長時間残業が禁止」だとか,「裁量労働制の制度が変わる」とか,ちょっと難しいような内容に見えてしまい,どうしてもとっつきにくい,あるいは「自分の会社には無関係だろう」というようなイメージでとらえがちなのではないでしょうか。

ですが,今回の働き方改革は,中小企業であっても無視することのできない内容になっており,大きな話でいえば,これから日本で働く上でのルールの抜本的な大改正,と言っても過言ではない内容になっています。

当然,中小企業においても,今まで通りのやり方だと法律違反になってしまうとか,労使紛争のキッカケになりかねない話も含まれてきますので,日本におけるすべての事業主にとって無関係ではいられないという内容だったりします。

そうはいっても,この「働き方改革」,法律の難しい内容に踏み込むことになってしまいますし,今どの段階まで議論が進んでいるのか,一般の方には非常に見えにくいというのも事実です。

そこでお勧めしたいのが,東京弁護士会がこのたび発行した【LIBRA2月号】に載っている特集です。

著作権の関係でそのまま掲載するわけにはいかないのですが,インターネットで公開されているものですし,ぜひ一度,東京弁護士会 LIBRA」で検索してみてください。働き方改革に関する最先端の議論が,比較的読みやすくまとまっています。

何を隠そう,当事務所の平山弁護士も,この特集に寄稿しておりまして,いくついて論じています。動向と言っても,現在の議論が大きく変更される事はないという状況ですので,実際には法改正の内容について確度の高い議論と解説を加えているものになります。

ザックリと言えば,時間外労働を命じる際のルール,その際の時間の制限などについての制度解説です。

どうしても手当の出ない残業で現場を回しているとか,サービス残業というような現象が起きがちなのも労働の現場の実態ではありますが,この機会に,会社での働き方のルール,基本的な考え方について,一度見直してみてはどうでしょうか。

 

(本当の意味でのひとりごと)

労働者の働きすぎの防止,ワークライフバランスの確保というような理念での働き方改革ですが,この制度の適用に入ってこない「労働の現場」というものも存在します。個人事業主の皆さんです。

実は私たち弁護士も,労働者ではなく個人事業主だと言われていて,労基法の保護下にありません。

最近は全国チェーン展開の大規模事務所も多くなり,そこで雇用されている弁護士たちは,厳密にいえば労働者性が認定される事案もあるように思いますが,昔ながらの小規模の事務所の所属弁護士や,少なくとも経営者弁護士,パートナー弁護士は,どうみても労働者性は肯定されません。

自分で自分の働き方を決めることができるから,労基法での「労働者保護」の必要性がないと考えられているところです。

ですが,実際問題,働きすぎで体調を崩してしまう弁護士というのは存在します。弁護士以外の個人事業主の皆様も現実は同じだと思っておりまして,法律が想定しているような大企業での経営者と,個人事業主の経営者では,労働の現場の感覚というのはだいぶかけ離れていたりすると思います。

法律の制度の良し悪しを論じるものではありませんが,個人事業主でも「働いて収入を得る」という意味では,労基法上の労働者と実態は変わらないわけです。

今回の法改正は,「長時間労働の是正」やワークライフバランスといった理念で進められているものです。このあたりがバランスが良くなれば,日本全体の生産性が向上するという考え方が根底にあるはずなのですが,実際に日本を支えている中小零細企業,個人事業主の方々の働き方が無理な状態のまま制度だけ変えても,この国の働き方の本質はなかなか変わってこないのではないかと危惧しています。

働きすぎ,恒常的なストレス化にさらされると,人間は体調を崩します。生産性がどうのこうのという話以前のレベルで,幸せに暮らすことが難しい状況に追い込まれてしまいます。そうすると,何のために苦労して働いているのか,本末転倒になってしまいます。

経営者,労働者たるものバリバリ働かないといけないという側面があることも承知の上ですが,体を壊してしまったら意味がありません。この機会に,一度,今の仕事の在り方を,少しだけ見直してみませんか。

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