労働災害について

お問い合わせ・現場で転落事故が起きて職人が死亡する事故。
・ライン作業中に機会に指を挟まれて切断するという事故。
・あるいは,過酷な過重労働が原因で過労死をするという事故。

こういった,職務に起因して生じる事故を「労働災害」「労災」と呼びます。

事故が起きないのが一番ですが,もし不幸な事故が起きてしまった場合,どうすればいいのでしょうか。

労災保険について

事故が生じた場合,まず労災保険給付の申請を行います。

労災保険で賄われない損害については,労働者から使用者に対して,補償を請求することになります。

誰が保険給付の申請をするのか?

被災者本人または遺族が請求権者となります。最近は,会社が申請をサポートしてくれることもあるようですが,基本的には労働者側で申請をする手続きです。

どこに請求するのか?必要な書類は?

請求する先は,事業場を所轄する労基署です。

必用な請求書の書式や,添付すべき書類の説明なども,労基署には備え付けてありますので,窓口に行って何が必要か聞くというのが,実は最も確実な方法でもあります。

なお,請求書の一部は厚労省のホームページからダウンロードすることもできます。

事業主証明とは?

労災事故が起きたという事実について,事業主(使用者)に証明を求める欄があります。

何月何日に,どこでどのような事故が起きた,という事実関係を証明してもらうのですが,場合によっては,事業主がこれを拒否するとか,事故の発生状況やケガとの因果関係が不明だなどとして証明を拒否することがあります。

しかし,このような場合でも申請をあきらめる必要はありません。事業主証明書欄は空欄のままで,「~~という理由により事業主が証明を拒否する」という事情説明書を出すことで,請求書は受理されます。

請求はいつまでにすればいいか?

労災保険給付の請求には事項があり,休業補償給付などは2年,遺族補償給付などは5年となっています。

労災保険給付と言ってもいくつかの種類があり,それぞれ給付内容や性格が異なり,時効期間まで異なっているので,すこし分かりづらいので,基本的にはできるだけ早めに相談していたいただく事をお勧めします。

労災認定とは

起きた事故が労災かどうかというのは,労基署が判断するという仕組みになります。提出された書類や,労基署が行う調査の結果,自己が業務に起因するものだと認定されると,保険給付が行われます。

給付決定の可否について判断がされますが,不服がある場合は,審査請求を申し立てることができます。法律上は「文書または口頭で」行うことになっていますが,複雑な内容でもありますから,どの結論のどの部分が不当である,その理由は甲だ,という事を文書にして提出するのが通常です。

また,労基署の判断に納得がいかない場合には,裁判で争うという方法もあります。

いずれも,申し立てをすることのできる期間が定まっており,比較的早く期限が来てしまいますから,注意が必要です。(審査請求は60日,訴訟は再審査請求の決裁から6か月です)

会社に対する請求

労災保険給付で保証されるのは,治療費や休業期間の一部の補償などですが,慰謝料や通院交通費など,必ずしも労災保険給付で賄う事の出来ない費目が存在します。

こういったものについては,事故の原因である会社(使用者)に対して損害賠償請求を行うことができます。

会社との交渉から始めるのが通常ですが,会社という組織と労働者という個人では,どうしても交渉力に差があります。争点は何か,必要な情報な何かを見極めて,交渉に臨む必要があります。

なお,たとえば人が死亡したケースの慰謝料ですが,概ね,2500万円から3000万円といった金額で解決されることが多いようです。決して小さな額の交渉ではないので,会社としても責任原因を争うなど予想されますから,できるだけ早い段階で弁護士に相談するべきでしょう。

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