セクハラ・パワハラの問題
セクシャルハラスメントやパワーハラスメントという言葉は有名になって久しいですが,具体的に何をやったらセクハラなのか,パワハラをした時に会社にどんなリスクがあるのか・・・正直なところよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
しかし,セクハラやパワハラは,職場の人間関係だけでなく,会社自体にとっても非常に大きなリスクとしてのしかかる,危険なものです。会社を守るためには,事前に職場環境からハラスメントを防止しておく必要があります。
セクハラとは
セクハラとは,労働者の意に反する性的な言動を言うとされています。事務所内で和解OLに性的な関係を強要したが拒否されたために解雇する(対価型セクハラ)とか,事務所内にポルノ写真やヌードポスターを貼る(環境型セクハラ)など,従業員に苦痛を与える行為をイメージして頂けばいいでしょう。
もちろん,同意なく体を触るとか,性的な関係を強要する,性的な話題を執拗に持ちかけるといった嫌がらせなどは,職場の内外を問わずに強制わいせつや強姦といった不法行為になり得るので,違法なことは疑いがありません。なぜか,職場の上司・部下という関係があれば許されると思ってしまう節もあるようで,そのため広い意味でセクハラと分類されることもありますが・・・常識的に考えて,アウトです。
パワハラとは
同じ職場内で,人間関係の優位などを背景に,業務の範囲を超えて精神的肉体的な苦痛を与える行為です。業務指示が多少厳しくなることはやむを得ないので,厳しい言動がすべてハラスメントになるという事は無いのですが,例えば直接殴るとか灰皿を投げつけるといった暴行,同僚の見ている前で執拗に暴言を吐くとか人格批難をするといった行為は,正当な業務上の指導を超えるという場合が多いでしょう。
ハラスメントがあった場合の責任
セクハラやパワハラは,民法上の不法行為(民法709条)にあたり,これによって被害者が受けた精神的苦痛を賠償する義務が生じます。そしてその賠償義務は,ハラスメントを直接行った加害者本人だけでなく,会社にも責任が生じる場合があります(使用者責任,職場環境配慮義務違反など)。
場合によっては,ハラスメントにより受けたショックが大きく精神障害を発症するとか,治療費や逸失利益が非常に大きくなる事案もありますので,職場でこういった内容の関係に心当たりがあれば,これ以上のハラスメントが起きないように防止する措置を講じる必要があるのです。
ハラスメント被害の申告があったら
会社によっては社員からの通報窓口や相談窓口から,ハラスメントの被害申告を受けることもあります。
これは,被害者本人からの場合もあれば,匿名での投稿という事もあるでしょう。特に会社の中で高い地位を持つ人(部長などの管理職)が加害者であるようなケースだと,自分が通報や告発したことへの報復を恐れ,匿名で投稿というケースは多いように見えます。
会社内でセクハラやパワハラがあったというのは,社会的には格好悪い話ですから,なかなか対応が難しく,どう手を付けていいのかわからないという事も多いと思います。
しかし会社として行う対応というのは決まっていて,まずは事実関係を調査することが必要です。これは匿名の投稿者を割り出すのではなく,投稿内容が真実かどうか,職場従業員からのヒアリングや法務担当者,人事担当者などによる視察など,現場に問題が無いかを確認するのです。
これを怠り,会社が事実調査を行わないなどすると,今後,ハラスメント被害者が加害者を訴えるなど行動を起こす際に,会社も加害者とグルになっていたとか,不祥事をもみ消そうとしたなどとして,一緒に訴えられてしまう危険があります。
会社には,従業員に適切な職場な職場環境を与えるという義務があります。にもかかわらずハラスメントの通報をもみ消したとか,必要な調査や対応をしなかったとなると,それ自体が不法行為となり,損害賠償請求を受ける危険が出てきてしまうのです。
加害者の処分
事実調査の結果,セクハラやパワハラの実態が明らかになったら,問題行為者に対しては人事上適切な措置を取るべきです。具体的には,厳重注意や降格,場合によっては解雇などの懲戒処分を検討することがあるでしょうし,事実上の注意の上で被害者と別の部署に配置転換をするなどして,今後のハラスメントが生じないように環境を用意することもあるでしょう。
ただしこの場合も,懲戒処分を行う前提として,きっちりと事実調査を行ったかどうかや,加害者とされる本人に弁明の機会があったかどうか,ハラスメントの態様の悪質性や被害の程度などから,明らかに処分が重すぎるとなると,その処分が権利濫用であり違法だとして,あらたな労働紛争を引き起こす可能性もあります。
そのため,加害者に対する処分についても,どういった手段を選択するのか,手続は適正に踏んでいるのかといった点を注意するのが良いでしょう。
ハラスメントの相談は弁護士へ
社内でセクハラ・パワハラが起きた際の会社としての対応は,非常に難しいものがあります。
中立の立場でどう調査を行うのか,加害者の処分や被害者のフォローをどう行うのかなど,様々な問題が巻き起こります。
特に近似は,SNSやインターネット掲示板などを通じて,社内の不祥事が外部に知れ渡ることが非常に容易になっており,世間の好奇心をあおるような事件に対しては,会社としての態度を決め,早期にしかるべき対応を決断せねばなりません。
当事務所の弁護士は,労働問題に精通しており,セクハラ,パワハラといったハラスメントの問題にも豊富な知識と経験があります。どういう対応を取るのが会社として正当なのか,会社に生じうるリスクはなんなのかを,分かりやすくお伝えし,現実的な解決策をご提案いたします。
パワハラやセクハラにお心当たりのある方は,いますぐ,当事務所にご相談ください。
提供する基礎知識
-
【弁護士が解説】離婚...
いざ、離婚調停の申し立てをしようと思っても、離婚調停の流れやかかる費用がどれくら[...]
-
不当解雇された場合の...
会社と労働者の間の労働契約は、労働者の生活を支える基盤ともいえるものであるため、[...]
-
中小企業が顧問弁護士...
中小企業が、社会的実体として、法が支配する市場で活動をする以上は、法的リスクの管[...]
-
企業間で紛争になった...
企業が日々事業活動を行う中で契約を締結する顧客や取引先との間で紛争が生じることが[...]
-
不動産取引でトラブル...
不動産の取引においてはさまざまなトラブルが発生する可能性があります。不動産関連の[...]
-
養育費の取り決め重要...
離婚した場合、親権のない親であっても、子どものために養育費を支払う義務があります[...]