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過労死・過労鬱について

労働事件・労使紛争を扱う弁護士には比較的珍しくない類型ではありますが、働きすぎで体を壊す、というケースが世の中には存在します。

「長時間労働による過労死、過労鬱」といった言葉で、聞いたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

2019年も、働きすぎで心や体を病んでしまった方の不幸なニュースに触れる機会が、たびたびあったように思います。

 

働き方改革やメンタルヘルスといった言葉は近時よく聞かれますが、しかし、なかなか、「働きすぎによる死亡や病気」といった事態をイメージするのは容易ではないように思います。

そもそも、「働きすぎたら体を壊す」といっても、直感的には「寝不足で風邪をひく」というようなイメージも持たれがちですし、「鬱なんて甘えではないか」「自分とは関係のない話だ」と思われる方がいらしても、おかしくはありません。

しかし実際には、「働きすぎて体を壊す」というのは、風邪をひくとかおなかを壊すというようなレベルの話ではなく、疲労が蓄積した結果「自力だけでコントロール・回復困難なまでに脳や内臓・肉体の機能がダメージを受ける」ということです。

不眠の症状や、頭痛、倦怠感、思考力の低下・・・今まで普通にできていたことが、なぜかわからないけれど出来なくなってしまう・・・

もちろん中には「24時間働いてもへっちゃら」という人もいるかもしれませんが、過労による鬱や体調不良は、「やる気」や「愛情」だけで予防したり治したりできるものではありません。インフルエンザにかかって39度の高熱を出している人が「気合い」だけで熱が下がることは有りませんし、骨折している人が「愛情」だけで骨がくっつくということも無いのと同じです。

しかし、メンタルの部分に関わってくる症状であるため、なかなか自分以外の人には苦しみが理解されず、ますます本人にとってつらくなってしまうことも、よくあります。

 

これは働く人にも、雇う人にも言えることですが・・・

人は無理をすると病気になります。

そして、一度体調を崩してしまうと、もとのように元気に回復するのは、とても大変です。

なので、事態が重大化する前に、できれば何とか手を打ちたい。もし不調が現れてきてしまったとしても、おかしいと気づいたらすぐ、助けを求めてください。

 

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東京弁護士会が発行している「LIBRA」という冊子の、2019年10月号に、私が書いた論文が掲載されています。

過労死の裁判について解説と評釈をしたもので、中身はどちらかというと専門家向けではありますが、図書館などにも置いてあることがありますので、もし機会があればご覧になってください。(府中市の図書館にはバックナンバーも置いてありました)

 

月の残業時間が60時間を超えるとか、非常にストレスフルな職場に長いこといる、仕事のことがずっと頭にあって夜も眠れないし何故かイライラする、頭がぼーっとしてしまう・・・

心当たりのある方は、ぜひ、事態が悪化する前に心療内科を受診してみましょう。

休職や退職をしたいがどうしたらいいのかわからない、どうも体調の悪そうな従業員がいるがどう対処していいかわからない・・・そういう場合には、怖がらずに弁護士に相談してください。

退職手続きの支援・代理や、労働環境の構築・労働者への対応など、弁護士が法律的、手続き的な支援を行います。

 

どうか、働きすぎ・働かせすぎで、ツライ思いをする人が、少しでも減るように・・・と願ってやみません。

 

新年のコラムに変えて

弁護士 平山諒

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