私選弁護士をつけるメリット
事件に巻き込まれて逮捕されてしまった,家族や知人が逮捕されたという場合,弁護士にご依頼いただくことで,被害者との示談交渉や身柄解放のための弁護活動を行うことができ,早期に解決を図ることも可能になります。
刑事事件の活動を行う弁護士には,国選弁護人と私選弁護人という2種類があります。
国選弁護人は,費用の負担能力の問題などで弁護士に依頼ができない場合に国の費用で選任する弁護人です。
一方,自分の知っている弁護士に弁護を依頼するという場合には,私選弁護人という立場となります。
国選だと仕事をやってくれない??
よく聞くのが,「国選弁護人は費用も安いから,真面目に仕事をしてくれない」というお話です。
これは,弁護士としては実に不名誉な話であり,非常に不本意ですが,たしかに国選弁護人は「誰を弁護士にするか」を選べない制度です。そのため,必ずしも弁護活動に熱心な弁護士にあたらないというリスクがあることは否定できません。弁護士の報酬が非常に安いというのはその通りで,国選で事件を処理するときは,多くの弁護士にとって利益は出ないことも事実です。
もちろん,当事務所では国選弁護も弁護士としての誇りある活動だと思っていますから,手を抜くことはありません。
しかし,国選弁護の場合,裁判所に選任さえるまでの間は弁護人として活動できないという時間的な制限や,誰に弁護してもらうかを選べない事といった制度的な制約があるため,必ずしも私選弁護に比べて,行える弁護活動に限界があるというのは事実でしょう。
私選弁護人を選ぶことのメリット
私選弁護人を選任するという場合は,逮捕直後の段階や,逮捕前の捜査の段階でも弁護活動を行うことができます。
そのため,逮捕される前の段階から,逮捕や勾留といった身柄拘束の要件について争うとか,早期の段階で被害者との示談交渉を行うなどできるため,身柄を拘束されないままで手続を進めることが期待できるというメリットがあります。身柄拘束がされずに在宅で不起訴処分で終わるという事であれば,刑事事件に巻き込まれていたという事実すら明るみに出ず,職場の方や知り合いにもばれずに日常生活を取り戻せますから,この点はかなり大きな違いでしょう。
また,仮に逮捕されてしまったとしても,逮捕前の段階から弁護方針を打ち合わせることで,十分な防御活動が行えます。身柄拘束後にようやく選任される国選弁護では,捜査段階からの準備というのは,できません。
また,場合によっては証拠収集や証言獲得のための旅費日当なども事前に調整しておくことで,スムーズな防御活動が可能になります。
もちろん,逮捕後に私選弁護人を付けるという場合でも,自分が信頼できる弁護士に弁護活動を依頼することで,密接な接見や協力者との打ち合わせの実施が可能になりますから,防御活動上も違いが出てくることもありますし,本人やご家族からしても安心感があり,精神的にはかなり違いが出てきます。先がどうなるか分からないという不安だらけの刑事手続きの中で,唯一の見方である弁護士が信頼できるかそうでないか。両者の違いは明らかでしょう。
このように,私選弁護人を選ぶということは,国選弁護人よりも活動内容が広がるという意味でも,安心感を得られるという意味でも,非常にメリットが大きいものと言えます。
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