派遣切りという問題
ハケンって・・・?
派遣切という言葉が広く世間で知られるようになったのは,リーマンショック直後に大量の派遣労働者が失業し,いわゆる「年越し派遣村」が出てきたことで,ひろく認知されるようになってきたように思います。
かつては,社会の枠のとらわれない新しい働き方としてもてはやされた時期もあった派遣という職種ですが,社会の契機の動向によってすぐに首を切られる,不安定な側面があることが浮き彫りにされました。
このように,派遣契約が打ち切られることで次の仕事が見つからない状態を,派遣切りという言葉で呼んでいます。
派遣切りにあったらどうすればいいのか
現在,派遣法の改正などによって派遣労働者の身分を安定させるべく法改正の動きもありますが,昨今の国会の情勢を見てもわかるとおり,なかなか,派遣労働者の身分保障になるような法改正には至っていないのが現実です。
派遣切りというのは,単純な解雇や雇止めとは異なり,派遣先と派遣元との契約,派遣元と労働者との契約があって成り立つものですが,派遣期間の満了にともなって派遣契約を打ち来るという事は特段制限されておらず,引き続き自分を雇い続けるように求めることは,原則的にはできません。
また,期間の途中であっても派遣契約が打ち切られるという事も,世間では頻繁に行われているようです。派遣先と派遣元での派遣契約が終了することに伴って,派遣労働者との雇用契約終了=解雇という措置がとられるようですが,これは法律上は「やむを得ない事由」(労働契約法17条)という高いハードルが無ければ認められないものです。しかし,派遣労働者の雇用契約は通常1年毎の更新などとなっているなど,通常の正社員とはそもそも異なる地位で雇用契約を結んでいることもあり,あえて派遣元の会社との雇用契約の継続を主張するというようなことは,あまり行われないようです。
ただし,期間途中で一方的に派遣切りにあったという場合には,残りの期間に相当する分の賃金を支払え,と請求することは可能でしょう。しかし,これとて,実際には大した額にならず,あえて弁護士に相談してまで権利を主張しようと思うの方が少ないように思います。
もちろん,派遣先で不合理なパワハラやセクハラにあったとか言う場合であれば,これに対する損害賠償を請求するという争い方はあるでしょう。しかし,引き続き自分を雇用するように求めるというのは,派遣労働者の場合だと,難しいのが実情です。
(世の中には,派遣切りと「雇止め」という問題を区別せずに解説していたり,派遣切りにあっても仕事を続ける事が簡単にできるような記載をしているサイトもありますが,これは間違いです。そもそも雇止めと派遣切りはまったく法律上異なる現象であり一緒に語ること自体が非常識と言わざるを得ない問題ですし,派遣労働者の方の雇用の問題というのは実際にはかなり高いハードルがあり,そのために法律を改正して今後の労働の在り方が議論されているというものなのです。いい加減なサイトに騙されないようにしましょう。)
雇用保険や生活保護の取得など
実際には派遣の仕事がなくなれば,再就職を目指して求職活動を開始すねばなりません。
しかし,なかなか仕事も見つからないということもあると思います。
もしどうしても生活に困ったという事であれば,まず,失業保険の取得の可否を確認しましょう。
派遣労働者でも,雇用保険の加入期間次第では,失業保険を受け取ることができる場合があります。
また,期間が足りずに保険を受給できない場合には,失業保険の申請も視野に入れましょう。
失業保険の申請窓口では,いろいろな理由をつけて申請を拒否するという所謂水際作戦が行われているとも聞き及びますが,収入が無く生活に困窮した人であれば,申請の上で必要な保護費を受け取ることは法律上認められた権利です。弁護士が同席して申請に赴けば自身性が認められやすくなることもありますので,どうしても生活に困ったという方は,一つの方法として検討してみてください。
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