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ブログ更新しました【残業代について3】

PBコラム残業代シリーズ第3弾 ~残業代請求を考える~

残業代を請求された時の、一応の初動については前回のコラムで書いてみました。

ですが、相手からの請求を受けて、実際に会社の担当者だけで対応するとなっても、どこまでうまくいくか不安・・・ということもあると思います。

では、逆に会社とすれば、どのタイミングで弁護士に相談をすればいいのでしょうか?

 

1 弁護士への委任を決断すべきタイミング

 

顧問弁護士とは密に打ち合わせをして、経営状態を共有しておく

理想的なのは、定期的に顧問弁護士と面談するタイミングで、残業代請求を受けたことを報告し、その都度指示を仰ぐことです。

あまり交渉の早い段階で代理人が出ていくと、その分紛争が大げさになってしまい、かえって解決が遠回りになるというリスクもありますので、当面は担当者と本人レベルで折衝をしたほうがいい、というようなアドバイスを受ける事もあると思います。

しかし、基本的には、交渉の作戦や準備、そしてどのような落としどころを目指していくことにするか、専門家のアドバイスがあるとないとでは大違いです。

 

2 スポットで弁護士を探す場合

なかなか、定期的に顧問弁護士と面談できるケースは少ないかもしれません。

スポットで弁護士に相談をするとなれば、やはり、内容証明や代理人からの受任通知が届いた段階くらいでは、一度は弁護士から指示を仰ぎたいところです。

請求書や通知書の内容を見れば、次に相手が訴訟や労働審判などの手続きを取るつもりなのか、あるいは交渉での解決を目指す余地がどのくらいあるのかを、専門家の視点で見極めることができます。

また、その後の法的紛争の手続きや解決までのスケジュール感も見通しを立てることができますから、会社として次に何を準備すればいいか、計画的に対策を立てて準備をすることができます。

 

3 労働審判を起こされた場合はどうする?

この段階になると、一刻も早く、だれか信頼できる弁護士を依頼すべきです。

特に労働審判の手続きについては、申し立てから1か月頃の時期に第1回期日が設定されますが、それまでのわずかな期間の間に、裁判所への出頭の日程調整と、会社としての主張(言い分)と証拠のすり合わせ、主張書面を作成の上で裁判所へ提出し、また和解に向けての方針を立てるなど・・・会社と弁護士が調整しておかねばならない事項が非常に多くあります。

労働審判は、建前では「原則3回の手続きで解決を目指す」という手続きなのですが、実務的には、第1回目の期日で担当者からのヒアリング(審問と言います)まで終えてしまい、裁判所としての心証をあらかた形成してしまうと言われています。すなわち、準備不足で第1回目の期日に臨んでしまうと、裁判官から見て非常に悪い心証を取られてしまい、会社にとって不利な結論が出されてしまうリスクが大きくなるのです。

これを避けるためにはどうすればいいか?答えはただ一つ、一刻も早く労働審判の経験と実績のある弁護士を探すことです。

たとえば会社が府中市にあれば、府中ピース・ベル法律事務所では、過去に労働審判や労働紛争を取り扱った経験も実績もありますし、フットワーク軽くスピーディな対応ができますから、もし裁判所から通知が届いたとしたら、今すぐにでも府中ピース・ベル法律事務所に予約をするのが良いでしょう。

 

4 裁判を起こされたらどうする?

労働審判と裁判は違う手続きですが、なかなか、裁判所からの呼び出しを見てもわかりにくいかもしれません。というか、広い意味で「訴えられた」という以上の認識というか把握は、慣れていないと難しいでしょう。よくわからなければどちらにしても弁護士に相談するほかありません。

さて、労働審判ではなく裁判を起こされたという場合も、できるだけ早く弁護士に依頼をしたほうがいいというのは同じです。ただ、早い段階でご依頼いただければ、第1回目の期日までにある程度会社の言い分を整理して訴訟に対応することも可能ですし、初回で躓かずに期日に臨めば、今後の進行をある程度見通しながら準備をできます。

裁判になればいよいよ、これから先半年から1年程度かかる労働紛争が始まるというスタートラインです。そして、最終的な落としどころをどう設定して目指していくか、そのために会社として最初から強く戦うのか、あるいは和解を目指して穏健な態度で臨むのか・・・このあたりの見極めは、早い段階で行いたいところです。

その意味でいうと、まずは御社のスタンスに理解と共感を示してくれる、相性のいい弁護士を探さなければなりません。そして、どうしても個性的な人が多い業界ですから、なかなか、御社の空気感やカルチャーとマッチするような、そして労務について心得のある弁護士を探すというのは、案外難航してしまう可能性もあります。

可能であれば、訴状が届いたらその日のうちにでも、弁護士さんを探しましょう。

都心や立川、八王子といった弁護士の激戦区にわざわざ出向くのもいいかもしれませんが、それよりもまずは地元の頼れる弁護士さんを探してみるのもいいのではないかと思っています。たとえばグーグル検索などで「府中 弁護士 労働問題」などと入力してみましょう。最近はいろいろな事務所がホームページを持っていますが、労働紛争に注力していて情報や解決実績が充実している事務所のほうが、安心して頼みやすい可能性は高いかもしれません。

 

顧問弁護士に相談すればいいのではないか?という疑問

弁護士さんとの付き合い方は、会社によって十人十色です。

「先代の社長のころの付き合いで顧問がいるけど、半年に一度も会うことがない」

「業界の特殊な法律関係を相談するけど、労働紛争や一般的な企業法務は相談できない」

「いつメールをしてもリアクションが遅い・・・なんで顧問で採用したんだろ?」

御社に顧問弁護士はいますか?と聞いた時によくあるのが、いることはいるけど、あんまり相談をしていない、というパターンです。

非常にもったいない!

弁護士は、裁判になったときだけが使いどころではありません。従業員ともめそうだとか、残業代請求を受けているがどう対応すればいいか?という、まさに日常業務の中から出てくる悩ましい問題を解決するのが顧問弁護士の仕事です。

もし、御社に顧問弁護士がいるがほとんど会ったことがないとか、労務や債務の話をしても対応してもらえないという方がいらっしゃいましたら、いますぐ顧問弁護士との付き合いを考え直しましょう。はっきり言って毎月の顧問料がもったいないレベルです。

また、例えば行政手続きとか医療訴訟、特許や知的財産権など、非常に特殊で専門性の高い分野での顧問の先生とのお付き合いはある、というケースもあるかもしれません。

弁護士には得手・不得手があります。そして、行政手続きや医療、知財という専門分野を扱える事務所は比較的少数かもしれませんが、逆にその先生方が債務や労務問題を扱えないのであれば、「セカンド顧問」を採用するというのも一つのやり方です。

当事務所は、労働紛争を中心に注力しており、労務・債務や外部との折衝など一般的な企業法務を扱えますが、医療紛争や知財、または税務といった特殊分野の業務は扱っておりません。逆に、これらの分野に特化した事務所だと、日常一般の法務についてはあまり扱わないという方も実際いらっしゃいます。

それぞれの得手・不得手を補う形で、分野限定の顧問契約を結ぶという方法もありますので、どちらにしても現在の顧問の先生に気軽に相談できないという会社の方は、一度、当事務所の顧問サービスをお試しください。

 

今回は残業代特価というよりは、どちらかというと「訴えられた時の弁護士の付き合い方」という感じになってしまいましたね・・・ざっくばらんな話として言えば、当事務所のように労働紛争を日ごろ扱う事務所からすれば、いつ相談に来てもらっても、残業代請求を受けているという内容は、あまり珍しいものでもありませんし、普通に対応できます。ただ、労務はあんまり得意じゃないんだよなあ、とおっしゃる先生も一定の割合いますので、できれば、この手の問題は「うちは労務やってます」「残業代計算できます」と自信を持っているところに依頼するのが良いでしょう。

人によって考えが違うかもしれないので全くの私見ですが、労働問題は、税務訴訟や医療過誤ほどの専門特殊分野ではないイメージがあるようで、大体の弁護士に取り扱えそうに思われがちですが、じつはいろいろと専門知識が必要なところも多く、決して簡単な内容ではありません。

やはり、残業代や労務の問題は、ある程度心得のある人を探して依頼したほうが安全だと言えるでしょう。その証拠に、現在一部の弁護士会の実施している「労働法律相談」でも、相談を担当できる弁護士は過去に扱った労働紛争の件数や研修実績などで要件が決まっており、「誰でもできる」という訳にはいかないとされています。

次回は、残業代の裁判対応の会社側の実務を、もう少し具体的にみていきます。

さまざまな成功事例・失敗事例も紹介していく予定なので、お楽しみに。

2017・8・8 弁護士 平山諒

 

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