釈放、保釈して欲しい
ご自身やご家族の方が逮捕されたという場合,多くの方がまず希望されるのが,一刻も早く釈放・保釈してほしいということです。
釈放や保釈というと,厳密にはケースが異なるので,法律の教科書的には書き分けが必要なのですが,刑事弁護上はいずれも身柄拘束からの解放ということになりますので,このページではこういった「逮捕された後の身柄の解放」について解説します。
制度上,どのタイミングで身柄の解放があり得るのか押えておくことで,今後の刑事事件の対応をどうするか,落ち着いて検討することが可能になります。
1 逮捕後,勾留前の釈放
被疑者が逮捕されると,48時間以内に検察官に送致されます。
その後,10日間の勾留請求をするかどうか,24時間以内に検察官が判断します。
この段階で,犯罪事実が極めて軽微であるとか,逃亡や罪証隠滅の恐れが無いことを検察官・裁判官に主張し,勾留されずに身柄釈放されるということがあります。
勾留の必要性が無いことを主張するに当たっては,たとえば被害者との示談が成立していることや,家族など身元引受人がある事,扶養家族や定職があることなどといった事情をもとに,具体的な主張を行います。できるだけ早期に身柄解放を目指すとなると,ご家族や支援者の方にも積極的にご協力いただくことが必要です。
2 勾留に対する準抗告
逮捕後に勾留決定が出てしまったら,すぐにこの勾留決定に対する異議申し立てを行います。これを「準抗告」といいます。
検察官の勾留の決定を裁判官が認めたという「決定」手続きに対して,その決定は不当であると申し立てる手続きです。
ただし,なんの根拠もなく申し立てをしても,決定が覆ることはありません。罪証隠滅や逃亡の恐れが無いことや,家族や身元引受人がいるなどの具体的な事情をもって,「被疑者を釈放しても問題が無い」ということを説得的に主張するのがポイントです。
そのため,ご家族や職場の上司の方などに,身元引受人になってもらうとか,被害者との示談をするために示談金をご用意いただくなど,ご家族や支援者の方にも積極的にご協力いただくことが重要です。
3 不起訴処分による保釈
逮捕後,すべての事案で刑事裁判になるわけではなく,起訴されずに釈放されて事件が狩猟するというケースがあります。
不起訴処分や起訴猶予処分という処分がされると,身柄拘束は解かれます。
不起訴となるためには,被害者との示談が成立していることなどの事情が必要です。
例外的な事案ではありますが,一度,高齢者の方で認知能力に障害が見られるといった案件で,不起訴処分後に速やかに後見人をつけることなどを条件に不起訴処分を勝ち取ったという事案もありました。
4 保釈
起訴後に勾留されていても,保釈請求を行い,早期の身柄釈放を求めることもできます。
現状,保釈が認められるケースは2割に満たないと言われていますが,証拠隠滅の恐れが無いことなど条件を満たす場合に保釈請求できるというのは法律上の権利であり,しっかりと主張していきたいところです。
また,保釈金の納付が必要になります。この金額は,基本的には本人の資力に応じて決定されますが,300万円以上の額が指定されることが多く,やはり,本人の力だけで納付するには高額であり家族の協力を求めざるを得ないというケースが多いようです。
逮捕された場合は、できるだけ早く弁護士に相談することで、勾留されずに釈放されたり、不起訴処分で釈放されたりします。できるだけ逮捕直後などの早い段階でご相談ください。
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