【シークレットページ】鬱になったバリスタ【よく見つけましたね】

第1話 べんごしせんせいのじったい

 

僕はケンジ。35歳。東京都内で働く弁護士だ。

 弁護士と言っても,扱う仕事には様々な種類がある※。離婚や相続,借金問題を専門に扱う民事事件専門の弁護士から,刑事事件で弁護人ばかりやる刑事専門弁護士。なかには医療問題を専門にする人もいれば,企業に就職してサラリーマンとして働く弁護士も最近は流行っている。もちろん,民事も刑事も,企業からの依頼も,自分の手に負えるものであればなんでも請け負うというオールマイティな弁護士もいる。

弁護士と言えば,ドラマや映画で出てくるような,法廷で饒舌に演説をする姿が思い浮かぶ人も多いだろう。あれは「弁論」といい,裁判の過程の中で行う手続きなのだが,実は弁護士の仕事の中では「弁論」にあてられる時間は少ない。どちらかというと,依頼者との打ち合わせや書面作成といった,地味な作業が多かったりする。

 僕ケンジも,家事事件や労働問題を扱う弁護士だ※。日々の業務は,夫の浮気に悩む奥さんからの相談や,残業代が出ないという労働者,家族が亡くなって遺産相続でもめているというご遺族など,様々な法律相談に対応している。

 そんな,どこにでもいるありふれた弁護士だが,このたび少し変わった経験をした。うつ病になったのだ。この顛末をみんなに知ってもらいたいと思い,この日記を残すことにしようと思った。

続く。

 

 

 ※解説

 弁護士の職務領域は近年非常に広がってきていて,従来のようなマチ弁(町中に事務所を構えて一般の方の相談に対応する弁護士)だけでなく,医療分野,刑事,労働と各分野に特化した弁護士が出現してきている。中には,自己破産や過払い金請求といった債務整理関係を専門とするチェーン店のような法律事務所も出てきていて,ワイドショーの時間帯によくCMで見かけるので,一般の方の認知も高いのではないか。

 ただ,弁護士の売り上げのもとは「客からの報酬」であり,ここから経費を引いた残りが『利益』となる。ワイドショーの時間帯にCMをだすとなると想像もつかない広告料が経費としてかかるわけだが,これをまかなってなお雇われ弁護士やスタッフの人件費を出せるほど,債務整理は儲かるのだろうか・・・高い経費の裏側には,相応の報酬があるはずなのだが。

 ※解説2 

 個々の弁護士の専門家・特化が進むということは,いうまでもなく,「専門外の領域」が生まれるという事だ。刑事も医療も労働も離婚も債務も・・・と,何でもできる弁護士ばかりではないので,法律相談をする際には,その先生がどういった分野での経験を持っているのか,見極めなければならない。中華料理屋に行ってフランス料理が出てこないし,脳神経外科に行って痔の相談をしても困る,という理屈だ。

 ・・・なのに,なぜか弁護士は,「●●の専門」と名乗ることを弁護士会から禁止されている。ユーザーフレンドリーのかけらもない話なのだが,これに違反すると最悪の場合は業務停止などの処分を受けてしまう可能性がある。なので,我々は「労働専門」とか「離婚専門」とは名乗らずに,「労働事件に注力している」「離婚事件に興味がある」という表現で,規制の網をかいくぐって取扱商品を明確にしているのだが,この言葉選びに何の意味があるのかは,実は自分たちにもよくわかっていない。


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